【お礼】シンポジウム ご参加ありがとうございました

  • 2021.04.05
  • シンポジウム

シンポジウム「ホウ素中性子捕捉療法の獣医学分野への適応拡大に向けて-取り組むべき課題と異分野融合研究の可能性-」に参加者の皆様へ

シンポジウムにご参加いただきありがとうございました。

2020年3月に開始予定だった本シンポジウムは、コロナ感染拡大を受け延期となりました。延期決定から、本シンポジウム開催までの2020年6月に、頭頸部癌に対して2つの医療機関において加速器BNCTの保険診療が開始されました。本シンポジウムのゴールは、獣医療法のもとでの加速器BNCTの実施であります。ゴールまで、長い道のりが想定されますが、この医療機関での加速器BNCTのスタートは、悪性腫瘍に苦しむ伴侶動物にBNCTを適応する大きな1歩となることが期待されます。

私の不勉強で恥ずかしいのですが、本シンポジウムで、〝One medicine, One health〟という言葉を知りました。大変重要な視点であると思いました。将来、加速器BNCTが伴侶動物の体幹部を含めたあらゆる臓器に発生する悪性腫瘍に適応可能となれば、肺、肝臓など、ヒトへのBNCTの適応が困難な臓器に引き起こされる晩期障害に関する知見が、ヒトの臨床研究より速いサイクルで得ることが可能となると思います。また、伴侶動物で多いとされる肉腫は、ヒトでは希少疾患のため、放射線治療の臨床研究が進んでいない疾患です。獣医学での加速器BNCTの臨床研究の成果が、ヒトの肉腫へのBNCT適応の根拠となることも期待されます。個人的な意見ですが、異分野融合研究の観点において、獣医学のBNCTの展開は、獣医学からヒトの医学に対する情報発信が、ヒトから獣医学より大きいのではと考えています。

現時点、伴侶動物に対するBNCTの基礎研究は京都大学複合原子力科学研究所(複合研)の研究炉を使用しての共同利用研究となり、獣医学分野の研究者の方に、すでに参画いただいております。本シンポジウムを通じて、より多くの獣医学分野の研究者の方にBNCT研究に興味を持っていただければと思います。

BNCTが〝One medicine, One health〟の象徴となる将来を目指して本シンポジウムは、2021年度の複合研での専門研究会に引き継がれます。2022年2-3月に開催予定です。本シンポジウムと同様に 獣医学BNCT推進プロジェクトHp (https://vetbnct.rri.kyoto-u.ac.jp)上で、参加申し込みを設定する予定です。このHpで、獣医学分野、BNCT研究分野での本プロジェクトの趣旨に沿った情報を積極的に発信できればと考えております。

最後になりますが、今後も、獣医学分野へのBNCTの適応拡大にむけて、皆様のご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

京都大学複合原子力科学研究所・粒子線腫瘍学研究センター

鈴木 実

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